WordPress6.5 RC1 が 公開されました。 WordPress6.5 は 2024年3月26日に リリースされる予定なので いろいろチェックをしています。
その中の WordPress6.5 で気がついたところを取り上げていきます。
これから追加・変更があるかもですので、説明や画像等がリリース時と違う場合もありますが随時チェックしていく予定です。
※この記事はブロックテーマ「Twenty Twenty-Four」でテストしています。クラシックテーマでは使えない機能もありますのでご了承ください。
リリースまでのスケジュールは WordPress 6.5 Development Cycle に載っています。
WordPress6.5 RC1
https://wordpress.org/news/2024/03/wordpress-6-5-release-candidate-1/
【2024/04/03】WordPress6.5 “Regina” リリースされました。
https://wordpress.org/news/2024/04/regina/
ブロックエディタ
Gutenberg
WordPress6.4では「Gutenbergプラグインver16.7」でしたが WordPress6.5では「Gutenbergプラグイン ver17.7」までが組み込まれました。
これらGutenbergプラグインの過去のバージョンの記事を見る事で 何が変更して追加されたか を見る事ができます。
Gutenbergの新機能 ver16.8 Gutenbergの新機能 ver16.9 Gutenbergの新機能 ver17.0 Gutenbergの新機能 ver17.1 Gutenbergの新機能 ver17.2 Gutenbergの新機能 ver17.3 Gutenbergの新機能 ver17.4 Gutenbergの新機能 ver17.5 Gutenbergの新機能 ver17.6 Gutenbergの新機能 ver17.7
ブロックの追加/変更機能
WordPress6.5では既存ブロックに新しい機能が追加されています。
但し、デフォルトでは無効になっていたり クラシックテーマでは反映されていない機能(設定にもよりますが)もありますのでご注意ください。
カバーブロック(16.8)
カバーブロックでは背景画像を設定すると、今までは色固定でしたが背景画像にあわせてオーバーレイカラーを自動的に設定するようになりました。
【参考】Set custom color when applying initial background image #54054
https://github.com/WordPress/gutenberg/pull/54054
カバーブロックではアスペクト比を設定できるようになりました。
設定は「カバー画像の最小の高さ」か「アスペクト比」のどちらかになります。
【参考】Dimensions: Add Aspect Ratio block support #56897
https://github.com/WordPress/gutenberg/pull/56897
ボタンブロック(16.8)
ボタンブロックのリンクに「nofollow」設定が追加されました。
【参考】Adds ‘nofollow’ setting to Button block #54110
https://github.com/WordPress/gutenberg/pull/54110
ブロックの名前変更(16.9)
WordPress6.4ではグループブロックの名前を変更できるようになりましたが、
WordPress6.5では、ほぼすべてのブロックの名前を変更できるようになりました。
こちらは変更できません。
core/block
core/template-part
core/pattern
core/navigation
【参考】Enable Block Renaming support for (almost) all blocks #54426
https://github.com/WordPress/gutenberg/pull/54426
引用ブロック(17.1)
引用ブロックに ブロックの間隔(block gap) が設定できるようになりました。
【参考】Add block gap support to Quote block. #56064
https://github.com/WordPress/gutenberg/pull/56064
プルクォートブロック
プルクォートブロックにパディングとマージンが使えるようになりました。
【参考】Pullquote Block: Add padding and margin support #45731
https://github.com/WordPress/gutenberg/pull/45731
ソーシャルアイコンブロック(17.3)
ソーシャルアイコンに「Gravatar」が追加されました。
【参考】Social Icons: add Gravatar service #56544
https://github.com/WordPress/gutenberg/pull/56544
リストビュー(17.4)
リストビューではブロックの3点リーダーをクリックすると設定メニューが開きますが、右クリックでも設定メニューが開くようになり、編集を効率化する事ができます。
【参考】List View: Allow right-click to open block settings dropdown, add editor setting #50273
https://github.com/WordPress/gutenberg/pull/50273
ギャラリーブロック(17.5)
ギャラリーブロックでは公開画面で画像を「ランダム表示」できる設定が追加されました。
【参考】Gallery Block: Add random order setting #57477
https://github.com/WordPress/gutenberg/pull/57477
ブロックのシャドウのサポート(17.7)
シャドウ効果が カラムブロック、画像ブロックで使用できるようになりました。
また、theme.json でシャドウ効果をカスタマイズできるようになりました。
【参考】Using the box shadow feature for themes
https://developer.wordpress.org/news/2023/01/12/using-the-box-shadow-feature-for-themes/
グループブロックの背景
グループブロックに背景画像を設定できる(背景画像ブロック)のは知ってました?
この背景画像ブロックでは位置やサイズ等を設定できるようになりました。
【参考】Background Image block support follow-up tasks #54336
https://github.com/WordPress/gutenberg/issues/54336
サイトエディタ(フルサイト編集 FSE)
サイトエディタの基本的な操作方法はこちらをご覧ください。
「サイトエディタを使用する| WordPress日本語サポート
https://wordpress.com/ja/support/site-editor/
フォントライブラリ
ブロックテーマでのフォント関連は、テーマ側でフォントファイル設置と theme.json 設定で使えるようになっていますが、WordPress6.5では新しいフォント管理機能が開発されています。
サイトエディタでローカルフォント又は Googleフォントをインストールでき、独自のカスタム タイポグラフィコレクションを追加できるため、簡単に拡張できます。
サイトエディタを開いて「スタイル」アイコンをクリックし「Aa タイポグラフィ」をクリックします。
「フォントの管理」アイコンをクリックしてください。
「フォントの管理」が開きます。
「ライブラリ」では現在設定されているフォントが表示されます。
「アップロード」では持っているフォントファイルをアップロードできます。
※サポートするフォーマットは.tff、.otf、.woff、.woff2 になります。
「フォントをインストール」では Google Fonts を選択してインストールする事ができます。
インストールしたフォントを全体で反映させるには、サイトエディタを開いて「スタイル」アイコンをクリックし「Aa タイポグラフィ」をクリックし「要素」の項目でそれぞれ設定してください。
※個別にフォント設定できるブロックもありますので、このブロックだけ別のフォントを設定する事もできます。
Webフォントには、有料と無料のものがあり、このようなローカル使用が出来ない規約のフォントもありますので確認をしてください。
有料フォントは、WEBサイトを運営する方が契約する必要があります。
また、無料の場合でも Webフォントの使用にライセンス表示が必須の場合や、商用利用不可などありますので注意してください。
【参考】New Feature: Font Library
https://make.wordpress.org/core/2024/03/14/new-feature-font-library/
【参考】Font Library: Font manager for WordPress
https://core.trac.wordpress.org/ticket/59166
パターンの名前変更(16.9)
パターン管理では個々のパターンの名前を変更できるようになりました。
※テーマ、Core に付属等のパターン(鍵付き)は変更できません。
【参考】Patterns: Add rename command #55188
https://github.com/WordPress/gutenberg/pull/55188
投稿/固定ページを編集するときにテンプレートを表示
投稿/固定ページで記事を編集するときにテンプレートレピューを表示し、確認できるようになりました。
【参考】Align page edit features in Site Editor and Post Editor #52632
https://github.com/WordPress/gutenberg/issues/52632
【参考】Site Editor: Add ‘Show template’ toggle when editing pages #52674
https://github.com/WordPress/gutenberg/pull/52674
WordPress Core
パターン
クラシックテーマでもパターン管理ができるようになりました。
【参考】Publish the Patterns page in the Site Editor to all non-block themes
https://core.trac.wordpress.org/ticket/58827
開発者向け
WordPress6.5 ではいろいろな機能やアクションフィルターが追加されています。
そのなかで ぉ! と思ったのを紹介します。
クラシックテーマ用外観ツール
ブロックテーマ theme.json で有効にできてた AppearanceTools(外観ツール) が クラシックテーマ でも有効にできるようになりました。
// Add support for appearanceTools. add_theme_support( 'appearance-tools' );
この設定をすると、以下のグローバルスタイル設定が有効になります。
border: color, radius, style, width
color: link
spacing: blockGap, margin, padding
typography: lineHeight
dimensions: aspectRatio, minHeight
position: sticky
【参考】Add theme support for appearance tools
https://core.trac.wordpress.org/ticket/60118
ブロックパターンカテゴリ
ブロックパターンカテゴリに「videos」「audio」が追加されました。
プラグインの依存関係機能
プラグインのヘッダに依存関係がある他のプラグインを指定すると
インストールや削除、有効化、無効化が互いに制限できるようになります。
【参考】Introducing Plugin Dependencies in WordPress 6.5
https://make.wordpress.org/core/2024/03/05/introducing-plugin-dependencies-in-wordpress-6-5/
【参考】Merge Announcement: Plugin Dependencies
https://make.wordpress.org/core/2024/02/15/merge-announcement-plugin-dependencies/
CSS レベル4 のビューポート相対単位の使用を許可(16.9)
theme.json にてビューポート相対単位が使用できるようになりました。
theme.json
"spacing": { "units": ["%", "px", "em", "rem", "vh", "vw", "svmin", "svmax", "lvmin", "lvmax"] ]
【参考】Allow using CSS level 4 viewport-relative units #54415
https://github.com/WordPress/gutenberg/pull/54415
AVIF サポート
WordPress 6.5 では AVIF サポートが追加されました。
AVIF画像はWebPより良さそうな気がしますが、サーバーやテーマ・プラグイン又は他社連携サービスが対応してくれてるかどうかですので様子見かも。
でも、こういう早い対応はありがたいです。
【参考】WordPress 6.5 adds AVIF support
https://make.wordpress.org/core/2024/02/23/wordpress-6-5-adds-avif-support/
新しいフィルター
●block_core_navigation_listable_blocks
ナビゲーション ブロック用のフィルターです。
【参考】Fix broken list markup in navigation block when 3rd party blocks are used as decendants of navigation block #55551
https://github.com/WordPress/gutenberg/pull/55551
●new_admin_email_subject
ユーザーがメールアドレスを更新した時に送られるメールの件名を変更できます。
【参考】New Admin Email subject line should be filterable
https://core.trac.wordpress.org/ticket/59250
●wp_is_rest_endpoint
REST APIリクエストかどうか確認します。
【参考】Add new utility function for checking if the current request is a REST API request.
https://core.trac.wordpress.org/ticket/42061
●wp_admin_canonical_url
管理URL に問題があった場合に修正できるようになります。
【参考】New filter admin_canonical_url
https://core.trac.wordpress.org/ticket/59545
●wp_plugin_dependencies_slug
プラグインの依存関係用のフィルターです。
【参考】Plugin Dependencies (Yet Another Plugin Dependencies Ticket)
https://core.trac.wordpress.org/ticket/22316
●hooked_block/hooked_block_{$block_type}
フックされたブロックを簡単に追加できるようにするフィルターです。
【参考】Block Hooks: Allow passing block definitions
https://core.trac.wordpress.org/ticket/59572
非推奨になった関数
■block_core_query_ensure_interactivity_dependency()
■block_core_file_ensure_interactivity_dependency()
■block_core_image_ensure_interactivity_dependency()
代わりに wp_register_script_module を使います
PHPMailerを6.9.1に更新
メールを送信するモジュール「PHPMailer」が v6.9.1へバージョンアップされました。
v6.9.1では「SMTP XCLIENT」機能が追加されています。
特に気にする必要はありませんが、問い合わせ等のメールテストはしといた方がいいです。
【参考】Update PHPMailer to 6.9.1
https://core.trac.wordpress.org/ticket/59966
HTML API
WordPress6.2から導入された ブロックマークアップのHTMLタグ属性を調整するためのツール「HTML API」がアップデートされました。
【参考】Updates to the HTML API in 6.5
https://make.wordpress.org/core/2024/03/04/updates-to-the-html-api-in-6-5/
テーマテストデータ
テーマテストデータにブロック用データが追加されました。
テストするには、Github よりダウンロードし解凍してから WordPressインポーターで「64-block-test-data.xml」をインポートしてください。
【参考】Add XML file for blocks, for WordPress 6.4 #85
https://github.com/WordPress/theme-test-data/pull/85
【参考】WordPress/theme-test-data
https://github.com/WordPress/theme-test-data
Field Guide
もっと他にも細かく知りたい場合はこちらのサイトでまとめられていますので御一読ください。
WordPress 6.5 Field Guide
https://make.wordpress.org/core/2024/03/15/wordpress-6-5-field-guide/
WordPress dev-notes-6.5
https://make.wordpress.org/core/tag/dev-notes-6-5/
Miscellaneous Editor changes in WordPress 6.5
https://make.wordpress.org/core/2024/03/09/miscellaneous-editor-changes-in-wordpress-6-5/
【WordPress6.5】theme.json の変更点
https://qiita.com/AkiHamano/items/abb353cb4dd58ab47bac
おまけ
Performance Translations
翻訳されたサイトを高速化する「Performance Translations」 プラグインがコアにマージされました。
【参考】Merging Performant Translations into Core
https://make.wordpress.org/core/2024/02/27/i18n-improvements-6-5-performant-translations/
【参考】Merging Performant Translations into Core
https://make.wordpress.org/core/2023/11/08/merging-performant-translations-into-core/
【参考】Performant Translations
https://ja.wordpress.org/plugins/performant-translations/
Interactivity API(実験段階)
フロントエンドの相互性を構成できる Interactivity API がマージされました。
ページをリロードせずに「画像のライトボックス機能」「この投稿にハートを付ける」や「カートに追加」等 アクションを起こしたりできるようになるようです。
【参考】Proposal: The Interactivity API ? A better developer experience in building interactive blocks
https://make.wordpress.org/core/2023/03/30/proposal-the-interactivity-api-a-better-developer-experience-in-building-interactive-blocks/
【参考】Merge Announcement: Interactivity API
https://make.wordpress.org/core/2024/02/19/merge-announcement-interactivity-api/
Block Bindings API
Block Bindings APIは、新しいブロックを作成することなく既存のブロックの機能が拡張できるようになるAPIです。
例えば コアブロックの属性をカスタムフィールドに接続できるようになります。
まだ、初期段階なので今後アップデートしていくそうです。
これは要チェックですね。
【参考】Tracking issue: Connecting block attributes and custom fields #53300
https://github.com/WordPress/gutenberg/issues/53300#issuecomment-1938463648
【参考】Introducing Block Bindings, part 1: connecting custom fields
https://developer.wordpress.org/news/2024/02/20/introducing-block-bindings-part-1-connecting-custom-fields/
【参考】Introducing Block Bindings, part 2: Working with custom binding sources
https://developer.wordpress.org/news/2024/03/06/introducing-block-bindings-part-2-working-with-custom-binding-sources/
【参考】New Feature: The Block Bindings API
https://make.wordpress.org/core/2024/03/06/new-feature-the-block-bindings-api/
【参考】Block Bindings API – Tracking issue #54536
https://github.com/WordPress/gutenberg/issues/54536
【参考】Add the Block Bindings API, including the “post_meta” and “pattern” sources
https://core.trac.wordpress.org/ticket/60282
【参考】Block Bindings: Let the source extend the `uses_context` in the block type
https://core.trac.wordpress.org/ticket/60525
Script Modules API
WordPress6.5より Script Modules API が追加されています。(wp-includes/script-modules.php)
主な関数は以下のようになっています。
・wp_dequeue_script_module
※スクリプト モジュールのマークを解除し、ページ内でキューに入れられなくなります。
・wp_deregister_script_module
※スクリプトモジュールの登録を解除します。
・wp_enqueue_script_module
※スクリプト モジュールをページのキューに入れるようにマークします。
・wp_register_script_module
※そのスクリプト モジュール識別子のスクリプト モジュールがまだ登録されていない場合は、スクリプト モジュールを登録します。
・wp_script_modules
※メインの WP_Script_Modules インスタンスを取得します。
【参考】Tracking Issue: Script Modules API #55942
https://github.com/WordPress/gutenberg/issues/55942
【参考】Script Modules in 6.5
https://make.wordpress.org/core/2024/03/04/script-modules-in-6-5/
WP Multibyte Patch
毎回 言いますが WordPress5.0から 必須のプラグインで 日本語版パッケージに 付属してた「WP Multibyte Patchプラグイン」は含まれなくなっています。
だいたい いけるようにはなってますが 日本語で使う場合は やっばり必ず 最新版をインストール → 有効化 してくださいね。
【参考】WordPress 5.0 利用開始前に知っておくべきこと
https://ja.wordpress.org/2018/11/04/things-to-know-before-using-wordpress-5-0/
WP Multibyte Patch プラグイン
https://ja.wordpress.org/plugins/wp-multibyte-patch/
WP Multibyte Patch – EastCoder;
https://eastcoder.com/code/wp-multibyte-patch/
本家版、日本語版 WordPress のマルチバイト文字の取り扱いに関する不具合の累積的修正と強化を行うプラグインです。英語圏で作られた WordPress を日本語環境で正しく動作させるために必要となる機能を網羅していますので、なんらかの対策を行っていない場合は導入をおすすめします。
バックアップとってね
メジャーアップデートでは必ずバックアップをとるようにしましょう。ファイルとデータベースのバックアップは必ずとるようにしてください。
【参考】WordPress のバックアップ – WordPress サポート
https://ja.wordpress.org/support/article/wordpress-backups/
できれば 本番のバックアップから テスト環境 を作って動作テストをする事をお勧めします。
ダウングレード
新しいメジャーバージョンのWordPressがリリースされて すぐにバージョンアップしても、今使ってるテーマやプラグインが対応していなくて なんかおかしい場合がよくあります。
こんな時は、対応してくれるまで ひとまず変更前のバージョンのWordPressに戻す という方法もあります。
※今使ってるWordPressのバージョンくらいは覚えといてくださいね。
【参考】WP Downgrade | Specific Core Version
https://ja.wordpress.org/plugins/wp-downgrade/